定期保険の重要度

生命保険への信頼感を揺さぶっているのは経営不振だけではない。消費者は生命保険の経営姿勢に対しても相当不信感を強めている。生命保険の仕組みは複雑なうえ、死亡保障の場合には顧客の潜在的なニーズを掘り起こす売り方が中心となる。「生命保険=定期付終身保険」という時代が続き、顧客も営業職員に勧められるまま、大型の死亡保障商品に加入してきた。だが、世帯普及率が九割を超える成熟市場では、生命保険の販売戦略は新規開拓よりも既契約の保障見直しにウエートが置かれる。

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そのなかで、結果的に顧客の無知に付け込んだ会社本位の販売が行われることになった。保障の見直しをするつもりはないが、死亡保障の大型化や契約転換の促進は、総じて顧客よりも会社へのメリットが大きかったのではないだろうか。見直しの結果、加入している保険への満足度が高まれば、現在のような高水準の解約が発生していなかったはずである。個人的にも営業職員から、「あなたの保障額は少なすぎる。少し保険料は上がるけど、保障額が倍になる」と言われ、全期型(契約期間の保険料が一定)の契約を、一五年後に保険料が二倍に上がる内容で提案されたことがある。確かに、目先の保険料は少ししか上がらないのに保障額が二倍になるが、払い込む保険料の総額は大幅に増える仕組みだった。そもそも保険でどこまで備えるかは人によって様々な考え方があるはずなのに、一方的に「少なすぎる」というのは根拠がない。しかも、頼んでもいないのに入院や退院の特約がセットになっており、ついでに予定利率も下がる内容だった。まさに会社本位の見直しの典型と言えよう。生命保険が今でも高額の死亡保障にこだわる背景には、抱えている巨大な営業職員組織を維持するため、顧客のニーズにかかわらず、付加保険料の厚い大型死に保障商品を販売しなければならないという本末転倒な事情もある。

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